腎不全の治療において現在では「腎代替療法療法選択」の重要性が高まっています。これまでわが国では、栃木県では特に3つある腎代替療法の中でも血液透析のみに偏重していました。確かに血液透析は非常に優れた治療法ですが、週3回の通院と長時間の拘束、食事や水分の厳格な制限が生活の質に影響を与える側面もありました。また、腎移植は3つの中で最も理想的な腎代替療法ですが、すべての腎不全患者さんにドナーがいるわけではありません。そこで当センターでは、現役世代であれば社会生活を維持しながら、高齢で施設入所していれば施設内で治療を継続できる「腹膜透析」の提供にも力を入れております。
腹膜透析の必要性と適応について
腹膜透析はご自身の腹膜を利用して血液を浄化する身体に優しい透析療法です。毎日持続的にゆっくりと尿毒素を取り除くため、血圧の変動が少なく、心臓への負担が軽いのが大きな特徴です。特に、末期腎不全の初期段階で「残存腎機能(尿が出る能力)」を長く維持できる点が、血液透析と比べて優れています。また、人生最期の局面で、食事量が少なくなり、自分のベッドで過ごす時間が長くなった高齢者にとって、腹膜透析は受け入れやすい治療法です。
適応については、お仕事や家事を続けたい現役世代の方はもちろん、通院負担を軽減したいご高齢の方、心機能が低下している方まで幅広く対象となります。当センターでは、患者さん一人ひとりの病態や生活環境に応じた最適な腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)をご提案いたします。
低侵襲な「局所麻酔」による「経皮的腹膜透析カテーテル留置術」
腹膜透析を開始するには、お腹にカテーテルを留置する手術が必要です。手術と聞くと不安を感じる方も多いかと思いますが、当センターでは、局所麻酔で低侵襲に行える「経皮的腹膜透析カテーテル留置術」を2025年4月に栃木県内では初めて実施し、以後1年間で5例すべてに採用しています。
「経皮的腹膜透析カテーテル留置術」は、従来の全身麻酔による開腹手術とは異なり、穿刺技術(皮膚から針を刺す手技)による手法です。
- 身体への負担を最小限に:局所麻酔(+静脈麻酔)のみで行うため、全身麻酔ができない状態でも実施可能です。
- 早期の回復:傷口が非常に小さく済むため、術後の痛みが少なく、早期の退院や透析開始が期待できます。
透析は「生活を制限するもの」ではなく「より良く生きるための手段」であるべきです。当センターでは地域医療の最前線で最新の知見と確かな技術を提供し、皆様が自分らしい生活を送り続けられるよう全力でサポートしてまいります。腹膜透析に関する疑問や不安をお持ちの方は、いつでもお気軽にご相談ください。