14例目の経過

受診からわずか9か月での血液透析導入

26歳の女性。19歳の健診で腎機能障害を指摘されて他院受診していましたが、問題なしとされていたようです。25歳、別な病気で他院入院中にクレアチニン1.68、尿蛋白2+のため、大学病院で腎生検した結果、IgA腎症の確定診断が得られたものの、その9か月後に血液透析が開始されました。20代での透析導入は、この年栃木県内ではこの患者さん1人のみでした。それくらい現在では若年者の慢性糸球体腎炎による末期腎不全は少なくなっているということです。透析導入後ではあるものの、他の腎代替療法つまり腎移植についてあらためて説明を受けたところ、母をドナーとした生体腎移植を希望して当センターを受診しました。

生体腎移植の準備

7か月間の準備期間で61歳の母と共に術前検査を受けていただきました。その中で2人とも胃カメラでピロリ菌感染が判明したため除菌しました。血液型はA型で一致、HLAというリンパ球の型も親子なので半分一致していて、他にもリスクはありませんでした。

母からの生体腎移植

レシピエントは手術3日前に入院、2日前から免疫抑制薬内服開始、前日に最後の血液透析を行いました。ドナーは前日に入院しました。手術はドナーが9時入室、レシピエントが10分遅れで入室して同時進行。ドナーはいつも通り後腹膜鏡(内視鏡)で手術、出血量30 mL、2時間50分で終了。レシピエントの手術も順調で、ドナーの腎臓を摘出後1時間6分で血管吻合が終わり、血流再開した移植腎から9分後に尿流出を認め、出血量50 mLだけで4時間19分で終了して、麻酔を覚ましてドナーの待つICUに入りました。移植直後から尿は時間あたり500 mL以上安定して出続けました。術後3日目にはほとんどの点滴類を外してICUを退室し、術後10日目にクレアチニン0.98で退院しました。ドナーは先に術後5日目に退院しました。

退院後

レシピエントは若いだけあってすぐに仕事を再開していましたが、内服などの基本的なことはきっちり守ってくれていて、クレアチニンは1.0前後で良好に経過しています。ドナーともども当センター外来で管理していきます。