12例目の経過

腎移植に至るまで

78歳の女性。糖尿病治療を受けていたクリニックから慢性腎臓病のため大学病院を紹介され通院していました。いよいよ末期腎不全に至り、腎代替療法選択外来で夫をドナーとした生体腎移植を希望しましたが、大学病院では夫の持病を理由に施設判断で腎移植は断られてしまい当センターを受診しました。

当センターでは夫の主治医にドナーとなる上で持病が支障とならないことを確認した上で、これまで同様にドナーの自発的意思を第三者(当院の場合、総合診療科医師)によって確認しました。

妻はレシピエント術前検査で、これまでどこでも指摘されなかった左腎癌が見つかりました。まだ34mmと小さいため転移はなく、腎摘出での完治が見込めました。腎移植より前に摘出して片腎になってしまうと、一気に腎機能が悪化してしまってその時点で透析が必要になってしまうため、腎移植と同時に左腎摘出をすることにしました。

左腎摘出&腎移植術

腎癌に対する手術法には現在、様々な術式があります。摘出する方法にも従来の大きな切開、ドナーと同じように内視鏡を使うやり方があります。腫瘍が小さければ、腎臓をすべて摘出せず、腫瘍だけの部分切除も可能です。今回は、末期腎不全の腎臓のため、腫瘍部分以外を残す意味がないので左腎をすべて摘出することとし、内視鏡を使って切除して腎移植の傷から摘出しました。移植する腎臓は通常、右下腹部に入れますが、今回は自分の左腎臓を摘出するために移植する腎臓を左下腹部に入れました。左腎摘出と引き続いての腎移植も順調に進み、両方とも終えた手術時間は6時間8分、出血150 mLと少なく輸血なし、移植腎からの尿は血管吻合後14分で確認でき、同じく順調に終わったドナーともども麻酔を覚まして予定通りICUに入りました。

術後~退院

術後は一貫して尿が出続け、順調に経過したため、ドナーである夫と一緒に術後8日目に退院しました。退院時のクレアチニンは0.93と良好でした。